2008年8月19日 (火)

原稿料での食事とMYさんの愛妻ぶり

 先週の金曜日から中央農研のMYさん夫妻がハノイに遊びに来ています。MYさんは私が2年前に中央農研で契約研究員をしていた時の上司で、大変お世話になりました。当時は通勤に2時間かかっていたのと奥さんと別れた直後で体力的にも精神的にもかなりきつい時期でした。結果を残してくれればいい、のお言葉に甘えて、毎日昼休みに40分近く昼寝をして、5時には帰宅していました。私はカメムシの仕事で雇われたのですが、勤務時間中のマダニの論文書きも大目に見てもらいました。

 おかげさまでカメムシの仕事も1報ずつ、オリジナルと解説として出版され、解説には原稿料が出たので、今回はそのお金でおいしい料理を食べています。日曜日の夕食にはナマズ料理、昨日の昼はフォー、夜はフエ料理を食べました。どこも地元の方が行く店で、少々汚いですが、味はいいです。それから三軒とも安かったので、まだ原稿料の半分も食べていません。

 今日は、ご夫婦でハロン湾ツアーに出かけられたので、食事会は休みです。

 それにしてもMYさんの愛妻ぶりには本当に頭が下がります。私が契約研究員だった時にはお昼の弁当を奥様の分もしっかり作っていらっしゃいました。共働きで、本人が料理好きなこともありますが、なかなかできることではありません。今回泊まっているホテルもハノイ屈指のメリアホテルのスウィートルームです。

 すでにとき遅しかもしれませんが、爪の垢を飲ませてもらいます。

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2008年8月17日 (日)

ぼったくりタクシー

 昨日で前半の調査が終わりました。まだ予定の半分で、パスツール研の人たちは来週は別の調査が入っているので、再来週からまた調査を始めます。昨日はほとんどトラップの回収で終わりました。一昨日までに取っておいた蛹から成虫を回収するのと、これまでの調査票とボウフラを採集した水瓶の数や番号を照らし合わせました。

 いつもは午前中に調査を終わらせてもその後の処理が8時、9時までかかるのですが、昨日は6時過ぎに終わり、TRさんとフォーを食べに行って、そのままバイクで空港まで送ってもらいました。

 ノイバイ空港について家まで帰ろうと27万ドンの約束でエアポートタクシーに乗ったのですが、料金所の前で10万ドンチケット代を払えと言われ、埒が明かないので、とりあえず10万ドンを渡すと次にガソリンスタンドによってガソリンを入れて時間をつぶし、アパートに着いたら35万ドン払えと言われました。20万ドン渡して3万ドンの釣りをよこせと言うと、タクシー料金は35万ドンと言い、ふざけるな(ここから日本語です)、27万ドンという契約だろ、と言うと、タクシー27万ドン。いやだと言うと、あと5万ドンよこせ。結局釣りはもらえず、降りました。今日、サッカーの練習の後でチームの人たちに聞きましたが、個人でないエアポートタクシーでもひどいらしいです。

 仕事ではこいつらに負ける気は絶対しませんが、サッカーにせよ、女性にせよ、こんな連中には死んでも負けたくねえ。

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2008年8月16日 (土)

蚊が取れ過ぎていっぱいいっぱい

 今日も家々を回って蚊を取らせてもらいました。今回の調査では150軒の家を回る予定ですが、1チーム午前中かかって7、8軒終わればいい方です。少ない時で3チーム、多い時で6チームで作業をしたのですが、まだ80軒ほどしか終わっていません。長崎から来ていたKDさん、AT君も今日帰るので、明日は日本人は私一人です。日本人のいないチームは11時くらいには引き揚げてしまうので、それを考えると気が重くなります。来週は調査を中断して、再来週にまた私はホーチミンに来て、調査を続けなければなりませんので。

 蚊の方は取れ過ぎて、毎日困るくらい取れています。当初、午前中しかで採集しないなんてけしからんと思いましたが、丸一日調査をしていたら蚊の処理ができなかっただろうと思います。今でもいっぱいいっぱいですから。

 日本は今お盆休みですが、今年は実家には帰れません。お彼岸くらいに夏休みをとれたら帰ろうかな。

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2008年8月15日 (金)

ヤシの実ジュース

 今日はパスツール研スタッフはTRさんを除いてみな別の現場に向かったので、昨日仕掛けたトラップの回収と調査場所をGPSに記録していく作業をしました。

 さて、調査場所は週に二日停電するそうです。仕掛けたトラップも当然その間停止するわけで、せっかく採集した蚊もその間に逃げ出しました。何とか対策を練らなければいけません。

R0010806 炎天下、バイクを降りて目的の家に向かいます。帽子代わりなでしょうか、皆ヘルメットを脱ぎません。先頭を歩いているおじさんは今日私を乗せていたのですが、やけによろよろバイクを運転するなあ、と思ったら、いきなり脱輪して草地に突っ込みました。かなり焦りましたが、写真のような池に落ちなくて本当に良かった。

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 家々を回っていると、「お茶でも飲んでいきない。柿でも持っていきない。」(推定訳、なおこれは群馬の方言です)と、言われます。水は沸かしたもの以外は飲まないようにしていたのですが、今日ホーチミンのようなひげを生やしたお爺さんの家で出された水は、飲まないととってもお爺さんに申し訳ない気がして、えいやで飲みました。写真のお宅では、ヤシの実を御馳走してもらいました。甘いのですが、しつこい甘さではありません。先日ベトナムに来られたM教授が、昔、ベトナムで調査場所に行く時に、ホテルから水を持っていくのを忘れたときにはヤシの実のジュースを飲んだと仰っていました。水の貴重な場所ではヤシの実は重要な水分補給源です。

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2008年8月14日 (木)

オーバーワークと仕事を楽しむTRさん

 今日も6時にホテルを出発して、8時から11時過ぎまで家々を回って蚊を採集しました。今日はかなり暑かったです。実は12時近くまで粘ろうと思っていたのですが、連れのスタッフが案内のおじさんにいつの間にか勝手に帰っていいよと言ってしまったので、早めに引き揚げてしまいました。英語が全く通じないので、私がこういうとき少しでもベトナム語が分かればいいと思います。

 パスツール研に戻ってからはずっと採集してきた蚊の処理と同定をしました。途中で他の人に手助けしてもらいましたが、それでも全部やり終わったのは8時過ぎでした。サンプルが多すぎて大変そうですが、少なすぎるのに比べればまだましです。

 夕食はTRさんとパスツール研近くのレストランで食べました。彼女から、なぜウイルスの分離を今回はするのか、と尋ねられました。最初は、まだあまりやられていないからとか、重要だからとか、答えになっていないような返事をしていたのですが、なぜ、そんなことを聞くの?と逆に質問を返すと、今回は自分がプロジェクトを管理するので、ぜひとも成功させたいから、と答えが返ってきました。家に帰っても仕事をするのでここのところ睡眠時間は2-3時間だそうです。今回の仕事に関してストレスを感じる一方で、楽しんでいるとも言っていました。彼女は今、仕事がおもしろくてしょうがないらしいです。

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 次の家を訪問しに向かうところ。道は丸太の橋なんてこともあります。当然バイクも使えません。炎天下、歩いて移動しました。写真の両側は湿地です。私は最初の一歩で踏み外しました。丸太を歩き渡ると奥には木でできた橋がありました。

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2008年8月13日 (水)

調査開始と日越の男女差

 調査2日目。本格的な調査が今日から始まりました。全部で6チームにわかれて、ボウフラの生息調査をしました。私は、パスツール研の新人スタッフと地元の役所のおじさん、保健所のおじさん、バイク運転手のおじさんと総勢5名で各家々を回りました。私もおじさんですが、新人を除いて皆さん人生の先輩でした。

 各家に着いたら、まず水瓶にボウフラ(=幼虫)と蛹がいるかを記録して、蛹を採集します。次に成虫を採集するためのトラップを仕掛けて、家の人に、上水道を使っているかとかいろいろアンケートをします。今回は、新人君と一緒ということで、私は彼が見落としがないか、見張る、嫌な役目でした。けれども、新人君は、KさんとA君に聞くまでわかりませんでしたが、去年までゲストハウスでガードマンをしていた人なので、ここでしっかり仕事を覚えてもらわなければなりません。Kさんは人手が足りないから今回だけ頼んでいるのではないか、と言っていましたが、確かTRさんは新人スタッフと言っていたはずです。ベトナムなので日本の常識で考えてはいけませんが、よく考えたら私は2年前までぷー太郎でした。ベトナムでは30代になってから勉強するために仕事を辞めるのはたぶん考えられないと思います。

 仕事の後、日本人三人とTRさんとで少し飲んだのですが、彼女から聞いた話は日本とは違っていました。日本では女性は現実的、男はおバカな理想主義というのが、たぶん私や私の友達の意見なのですが、ベトナムでは女性が理想主義で男が現実的だそうです。ふうーん。でも、ベトナムの男は酒と博打と女が好きだけど、それって現実的ではないよ、と言ってみましたが、彼女の言うには、それでも女性の方が理想主義らしいです。私はベトナム人の女性について勉強不足なので、これについては2年間の宿題にしたいと思います。

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 この田んぼのあぜ道をバイクに三人乗りして家々を回ります。今日は6軒の家を訪問したのですが、各家でお茶をいただきました。当然、調査している水瓶の水を沸かしていると思います。出されたものは残さず食べて飲むのが私のモットーなのですべていただきましたが、最後の家で出された、冷やした水だけは、飲めませんでした。出した家の方に失礼だったと思います。

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2008年8月12日 (火)

事故現場と交通マナー

 今朝は6時に出発して現地に向かい、8時から作業を開始しました。総勢13名で一つ一つの作業を確認しながら、予備調査を行いました。最初のうち英語とベトナム語の両方ができるTNさんがミーティングに行ってしまったため、ベトナム人スタッフの間違いを指摘できず、困りました。さあ、そこでベトナム語を勉強した私の出番と言いたかったのですが、せいぜい時間と道を聞けるレベルなので、役には立ちません。作業を終えた後、協力してくれた家の人に、ありがとうございました、と言える程度です。

 現地に向かい途中、事故現場を通り過ぎました。バイクが車道の真ん中にあって、そばに人が倒れていました。その方は亡くなったらしくゴザがかかっていました。

 曲がりたいときに勝手に曲がる、脇道からは本道に合流する際に徐行せず、二人に一人は進行方向しか見ていない(様に見える)。これでは事故がないのが不思議です。去年の暮れからヘルメット着用が義務づけられましたが、信号無視、一方通行無視などをもっと取り締まってほしいものです。歩道をバイクで走るのは、日本では(古いですが)オバタリアンと自棄をおこした十代の若者に限定されますが、こちらでは普通です。ルール以前にマナーの問題ですが、交通に限って言うと日本の常識はベトナムでは通じません。

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2008年8月 9日 (土)

調査開始の遅れ

 金曜日にはベトナム訪問中のT教授とM教授も合流して、調査地の下見をしてきました。蚊の発生源になりそうな容器にはトイレタンクや花瓶などがありますが、今回の調査地ではやはり何といっても水瓶です。蓋を各世帯に配って全部の水瓶にきちんと蓋をした地域と、蓋を配らないで特に対策をしない地域とでボウフラの発生量を比較するのが今回の調査の目的です。他にも、処理区と対照区とで住民のデング熱の抗体価を比較します。ただ、今年はデング熱の発生患者がすでにかなり報告されています。蚊の対策を実施した地域、しなかった地域での抗体価の比較をするのには調査開始が遅かったかもしれません。

 蚊の採集とその後のウイルス検出が私の今回の仕事です。蚊の採集は抗体調査に協力してくれる家から行う必要があります。ところが、住民への説明会が遅れに遅れていて、来週以降になったので、調査する家屋がまだ決まりません。本来は来週いっぱい採集をする予定でしたが、来週は前半に予備調査をしてからいったんハノイに引き揚げて、調査する家屋が決まった時点でまた来ることにします。

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 養殖池や水路のまわりには手前のようにヤシの木が植えられています。ヤシの実は食用として、葉は奥の家のように屋根や壁として使われます。

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ベトナム南部での調査の下見

 今、ホーチミンのパスツール研究所近くのネットカフェにいます。

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 木曜日、金曜日と調査地の下見に行ってきました。田んぼとエビの養殖場が一緒になった池に囲まれて家々がぽつんぽつんと点在しています。家と家とは田んぼのあぜ道でつながっています。どの家にも軒下に大きな水瓶を置いていて、そこに雨水を貯めて、生活用水として使っています。ずらっと並べられた水がめ。屋根から流れ落ちる雨水を手前のトタンで水がめに流し込みます。普段は水がめに蓋をしていますが、蓋が無くなったり、壊れていると、そこからネッタイシマカが入り込んで、卵をうみつけます。

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 調査地の下見を終えて、保健所に戻ってくるTNさんと地元の保健婦さん。もちろん二人乗りです。田んぼのあぜ道が家と家を結ぶ道路なので、車は幹線道路(といっても乗用車二台がやっとすれ違える程度)以外は走れません。バイクと自転車がここでは必須です。毎日、否でも平衡感覚が磨かれるでしょうね。お笑いの人ならここで落ちるのでしょうが、底まで2mはありますので、バイクを這い上げるのが大変です。

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2008年8月 6日 (水)

オフィスの騒音と分類学

 今朝、エントのラボに出勤すると、見慣れない男性が机に座って仕事をしていました。業者の人かと思いましたが、ベルギーに修士留学していたDさんというスタッフの一人でした。

 お昼を食べて戻ってくると、オフィスに音楽がかかっていました。やれやれ、昼休みが終わるまでは我慢するか、とフレラボで気分転換してから戻っても、やはりベトナム歌謡曲が鳴りやまないので、うるせえな、静かにしろ!と、日本語で言ってから、音楽が聞きたけりゃ、ヘッドホンで聴け、と英語で言いました。ベトナム人の騒音、雑音に対する神経の無さは百も承知ですが、国から高い金出してもらってヨーロッパまで行ってこの程度か、と言いたくなります。この前私から、オフィスはカフェじゃねえぞ、と言われたS君がベトナム語でなにやら混ぜっ返していましたけど、言ってわからない奴はそれまでです。

 今日は長崎からT教授と副理事のM教授がNIHEに見学に来られました。プロジェクトのことで最近いろいろとこじれていたので、ボスのT教授には間に入ってもらってエントのトップのYさんと話し合ってもらいました。

 エントのH部長、YさんがT教授、M教授を夕食に招待したので、私も同席したのですが、植物性プランクトンの分類がご専門であるM教授からいろいろとためになるお話を聞かせていただきました。特に、途上国から日本に来る留学生が日本で最先端の機械を使って研究をして帰っていくけれども、研究者として日本での学位取得で終わってしまう人が多い。むしろろくに器具もないような条件の中でも独自の研究テーマを見つけ出し、そこから解決法を工夫していける人を育てていかなければならない、という意見に共感しました。

 それから、DNAの情報ではこれまでの形態的な分類とは一致しない問題が起きているけれども、今こそ形態(的形質)を再検討していくべきだ、という意見にも考えさせられました。衛研にいたときに私がダニの同定をしていたのを見ていた、細菌の専門家の人から、これからはDNAがわかればいちいちそんな毛の数を数えることをしなくてすむよ、と言われたことがあったのですが、望遠鏡を通してにせよ、顕微鏡を通してにせよ、見てわかるのだったら、それが一番確実です。自分でも何だかわからない材料を機械を通してA種、B種と判定してもらってから実験や観察に使うのは、想像しただけで気味が悪いです。生物学者が皆、自分の実験材料をPCRにかけて同定できる必要なんてありません。材料を使う前にこれは何の種類かと特定できるその道の専門家が最低一人いれば十分で、そういう人を育て、守っていく体制こそ必要なのだと思います。

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