今朝、エントのラボに出勤すると、見慣れない男性が机に座って仕事をしていました。業者の人かと思いましたが、ベルギーに修士留学していたDさんというスタッフの一人でした。
お昼を食べて戻ってくると、オフィスに音楽がかかっていました。やれやれ、昼休みが終わるまでは我慢するか、とフレラボで気分転換してから戻っても、やはりベトナム歌謡曲が鳴りやまないので、うるせえな、静かにしろ!と、日本語で言ってから、音楽が聞きたけりゃ、ヘッドホンで聴け、と英語で言いました。ベトナム人の騒音、雑音に対する神経の無さは百も承知ですが、国から高い金出してもらってヨーロッパまで行ってこの程度か、と言いたくなります。この前私から、オフィスはカフェじゃねえぞ、と言われたS君がベトナム語でなにやら混ぜっ返していましたけど、言ってわからない奴はそれまでです。
今日は長崎からT教授と副理事のM教授がNIHEに見学に来られました。プロジェクトのことで最近いろいろとこじれていたので、ボスのT教授には間に入ってもらってエントのトップのYさんと話し合ってもらいました。
エントのH部長、YさんがT教授、M教授を夕食に招待したので、私も同席したのですが、植物性プランクトンの分類がご専門であるM教授からいろいろとためになるお話を聞かせていただきました。特に、途上国から日本に来る留学生が日本で最先端の機械を使って研究をして帰っていくけれども、研究者として日本での学位取得で終わってしまう人が多い。むしろろくに器具もないような条件の中でも独自の研究テーマを見つけ出し、そこから解決法を工夫していける人を育てていかなければならない、という意見に共感しました。
それから、DNAの情報ではこれまでの形態的な分類とは一致しない問題が起きているけれども、今こそ形態(的形質)を再検討していくべきだ、という意見にも考えさせられました。衛研にいたときに私がダニの同定をしていたのを見ていた、細菌の専門家の人から、これからはDNAがわかればいちいちそんな毛の数を数えることをしなくてすむよ、と言われたことがあったのですが、望遠鏡を通してにせよ、顕微鏡を通してにせよ、見てわかるのだったら、それが一番確実です。自分でも何だかわからない材料を機械を通してA種、B種と判定してもらってから実験や観察に使うのは、想像しただけで気味が悪いです。生物学者が皆、自分の実験材料をPCRにかけて同定できる必要なんてありません。材料を使う前にこれは何の種類かと特定できるその道の専門家が最低一人いれば十分で、そういう人を育て、守っていく体制こそ必要なのだと思います。
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