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2009年7月

2009年7月31日 (金)

ニャチャンでの調査

 ニャチャンから今日戻ってきました。滞在先のホテルのネットの接続が最悪で、更新ができませんでした。

 仕事は、初日からつまずきました。NIHEから先に来ていたS君がサンプル管の番号の確認をせずに処理をしてしまい、ニャチャンパスツールの人にも、あれほど事前に蛹と幼虫を分けてサンプリングしてくれと言っておいたにもかかわらず、混ぜて採集されてしまいました。

 二日目は調査は無事終わりましたが、今週末突然ベトナムに来ることになったM教授のホテルや車の手配で関係者にメールを出すのが大変でした。

 調査は午前中に3チームに分かれて家々を回って花瓶や空き瓶に発生するボウフラと蛹を取らせてもらい、ついでに一晩トラップを仕掛けさせてもらって成虫を採集します。午後は取ってきたボウフラを大きめの容器に移し、蛹は採集した場所、容器ごとにアイスクリームカップに移します。幼虫と蛹は成虫になった段階で種を同定します。それから、トラップで採集した成虫も同定します。だいたいこのような作業をしているといつの間にか3時くらいになります。5時には皆引き上げるので、それまでにメールの返事などを済ませました。

 ホテルに戻ると、すぐに海パンにはきかえて50メートルほど離れたビーチに行って、1時間くらい泳いでいました。

 これまでの調査や研修だと誰かの誘いがあって飲み会になるのに、なんとなく物足りないなあ、と思ったりしていました。ところが、最終日の朝、相手先のベクターコントロール部門の部長さんからお昼のお誘いがありました。最初は、バンメトートの飲みに比べれば、どうってことない、と余裕でしたが、なんとなく人のよさそうな、お酒の好きそうなおじさんに気に入られ、ついつい飲みすぎてしまい、午後からヘロヘロの自分に鞭打って仕事を再開しました。

 明日以降の作業を伝えて、どうにか仕事をやり終えてホテルに戻ったところ、S君から部長さんはじめ皆が待っている、との呼び出しを受けました。部長さんの車でビアホイに行き、ここでまた飲まされました。

Rimg0007_2  ニャチャンのパスツール研究所からのオーシャンビュー。すぐ目の前に空と海が広がっています。仕事したくなくなるなあ。

Rimg0017  お昼に食べたウニ。たれとわさびを少し入れて、スプーンでかき混ぜて食べました。今の時期にしか食べられないそうです。今までベトナムで食べた海産物の中で一番美味かった。夜にはエラコを唐辛子で炒めたのを食べました。部長さんは精力剤だとか言っていました。学生時代、北大の臨海実習では材料にした動物はすべて食べるつもりでしたが、最終日のエラコだけは食べませんでした。20年後にベトナムで食することになろうとは思いませんでした。

 でもって、エラコが原因というわけではないと思いますが、二次会の途中で席を立って、道端のドブの前にうずくまり、、、、

 汚水とともにエラコも海に戻っていきました。

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2009年7月25日 (土)

忙しいサンプリング、そしてカステラ

 成田からハノイに戻ってきたのですが、千葉のビジネスホテルで12時チェックアウトをするまでに千葉そごうでお土産を買い込みました。それから、千葉駅のコインロッカーで荷物を置いておいて、市内をぶらぶらしようかと思っていたのですが、コインロッカーがふさがっていたので、ぶっらぶらするのをあきらめました。全部で47キログラムの半分は本と雑誌でしたが、重くて重くて。紙は束になると重いです。かえって服の方が軽かったりします。たぶん私の荷物を盗む人はいないと思いましたが、それでも盗まれたら取り返しのつかないものもありましたので、2時間くらい千葉駅で時間をつぶしてしまいました。案の定、空港で22キロオーバーで6万円取られました。

 翌日からずっと炎天下のハノイ市内で蚊を取りました。朝の7時に職場を出て、昼過ぎに戻るのですが、もうへろへろで、それからまた蚊を仕分ける作業があるので、夜になるとぐったりです。サンプリングの案内をしてくれるのは現場の保健所の保険婦さんなのですが、人によって苛つくこともありますし、サンキューソウマッチ、と言うときもありまして、本当に疲れます。私がベトナム語でコミュニケ-ションがとれないので、いくらかは私の責任もあると思います。とりあえず、ハノイにいるのは1週間で、来週からニャチャンです。

 夜は(ありがたいのですが)連日お誘いがあって、家に帰るとブログを更新することもままなりませんでした。

 長崎土産で福砂屋のカステラをサッカー仲間に買ってきたのですが、もう賞味期限が切れかかっていたので、しょうがなしにエントのベトナム人スタッフに3時のお茶の時間にだしてしまいました。私も一切れ食ったけど、あっという間にスタッフが食っちまいました。なんだかんだゆってこっちの生クリームでないケーキと比べたら福砂屋のカステラの方がうまいです。MKさん、OMさん、KTさん、そしてIMさん、また次の機会に期待してください。 

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2009年7月23日 (木)

房総の知人とダニの展示企画

 日曜日には千葉中央博のOさんと会いました。彼は哺乳類屋さんで、房総でマダニの調査をしていたときにかなりお世話になりました。私が衛研を辞める一年くらい前から共同研究が始まったので、そろそろ10年来の付き合いになります。

 彼は若い頃にカモシカの本を出しています。前に話を聞いたときには、研究職を探すのをあきらめて県の職員になったけれど、やっぱり仕事が面白くなくて、鬱屈した気分を晴らすために本を書いたそうです。他にも2冊の啓蒙書を単著で書かれていますし、昨年度まで毎年房総のシカ調査会の報告書をまとめていました。私は彼との共同研究の仕事でまだまとめていないのがいくつもあるので、彼に会うたび尻をたたかれる気分になります。

 Oさんからはできたら3,4年のうちにダニの展示を企画したいと話を持ちかけられました。ダニは、一般の人は気持ち悪いとか言いながら、興味を持ちそうな材料だと、彼は言い切っていました。

 前にも誘われたことがあったのですが、私は当時千葉大の研究生でとてもそこまで手が回りませんでした。今回はできるだけ協力したいです。

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2009年7月21日 (火)

講義、講義、そしてセミナー

 金曜日の午前中は日本人の研修生と修士学生を対象にした日本語での講義、午後は留学生を対象にした英語の講義、そのあとボス二人を相手に現在の仕事の進捗状態についてセミナーをしました。一日に3つはきついです。だんだん疲れて、だんだんボロボロになっていきました。この一月あまり、ホーチミンで調査をしても夜はかなり講義の準備に当てましたし、大分でも待ち時間はスライドを作っていました。やっと開放された感じです。

 午前の授業は反応もあって、時間もぴったりでした。午後の授業は、時間が余ると思いきや、説明をやり直すことが多かったので、逆に足りなくなりました。簡単な英単語が出てこなくてへこみました。夕方のセミナーも何これという感じでした。もっと計画を練らなければ。

 セミナーのあと、ボス二人と今後のことについて話をしました。夜は研究室の人たちと飲み会でした。一次会で盛り上がったので、その後カラオケに行き、1時くらいまで騒ぎました。最後がイマイチであったので、妙に酔いが醒めました。

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2009年7月16日 (木)

大分でのDNA実習

 私がこれからベトナムで研究しようとしているテーマにはどうしても遺伝的な手法が必要です。そのため、蚊の遺伝的な研究の達人である、大分大学のOさんのところでDNA実験の研修を受けています。千葉大にいたときに学生に混じって実習を受けたことがありましたが、もう5年以上たっていますし、細かいことは忘れています。実験のテクニックはその道のプロのところで直接教えてもらうのが一番です。

 一日目は蚊からDNAを抽出して、PCRにかけるところまでやりました。二日目はPCRでDNAがうまく増幅していてくれるはずが、まったくだめだったので、三回やり直しました。

 それでもだめだったので、三日目にもう一回やり直して、ようやくうまくいきました。ただし、ヒトスジシマカではきれいなバンドが得られましたが、ネッタイシマカでは3個体中1個体からしかバンドが得られず、さらに検討する必要があります。

 本当ならこのあと塩基配列を決定して、その結果を解析する予定だったのですが、二日目のPCRで時間がかかったためそこまではできず、シークエンサーにかける準備までやって、結果はOさんに託しました。いい結果が出てくれるといいのですが。

 一昨日は仕事が終わったあとにOさん、Aさんとフグを食べて、昨日は居酒屋で鳥天、琉球、関サバを食べました。食事の後でOさんと都町のバーで飲みました。バーに行ったのは千葉でまだ独身だった時以来かもしれません。どちらの店も雰囲気が良くて、満足しました。

 

 

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2009年7月12日 (日)

研究の準備とベトナム式じゃんけんに勝つ

 感染実験をするにあたって必要な装置の見本が届きました。それを見ながらエントのYさんと話し合って、手を入れる部分の内側をプラスチックでなくて女性のパンストにする、あとはできたら反対側にも手を入れる部分を取り付けるように業者の人に頼みました。試作品は100ドルで、2個目からは85ドルなので、全部で3個注文しました。

 さらに、実験室の一部を区切って感染実験専用のスペースにするために改修工事が必要になります。この費用が約17万円ほどかかるそうです。これもこちらが捻出しなければなりません。こういうお金を捻出するにはどうすればよいか、夜、Y教授と最近できた某日本料理屋でミーティングを行いました。さすが、どのようにすれば事務的にすっきりするか、良い知恵を授けてくれました。

 そして、台湾に留学していたD君からマーキングリキャプチャーの調査を一緒にやらないかと誘いを受けました。彼は、私が昨年バッチャンでこの調査を行って、さらに中国でもすでに行っていると勘違いしていました。バッチャンでは蚊を放飼する前に失敗しており、2回目は私が入院するはめになりました。ちなみに中国の論文にはTsudaと書かれていました。

 彼のプロトコールを読んでいて、なんとなくどこかで聞いた地名だと思ったら、私の調査地でした。直線距離で300mも離れていないので別の場所にしてもらいました。

 最初、私の調査地を変えろ、とか言っていたのですが、私は先月から実施しているわけですから、私が変えなければならない理由はありません。そう主張すると、じゃんけんで決めようと言ってきました。ベトナムにもじゃんけんがあるのですね。ただし、チョキは人差し指一本でした。ルールは日本と同じです。

 冗談じゃない。俺が正しいのに、負けたらどうすんじゃ。

 サッカーのボールじゃんけんの時は3回に1回くらいの割合で負け続けてボールお持ち帰りになるのですが、今日の私は強かった。勝ちました。

 正義は勝つ。

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2009年7月 8日 (水)

Dong Nai調査の保健婦さん

 昨日からホーチミンのとなりの県のDong Naiで調査をしています。ここは比較的大きな工場が多くて、道も広くてどこも舗装されていて、裕福な県であるように見受けられました。実際、郊外の家を何軒か回ったのですが、どの家も新しく、庭もこぎれいで裕福な感じがしました。なんといっても、前の週のTien Giangのインパクトが強かったので、なおさらそう感じるのかもしれません。

 今日は、最初に郊外の家で蚊を捕えるトラップを回収した後、下町の家々を訪問しました。ごちゃごちゃしていて生ゴミの臭いが充満していて、3畳ほどのバラックに夫婦と子供3人が暮らしていたりして、昨日の郊外の家とはえらい違いでした。

 昨日はどう見ても70代のおばあちゃんが(実際には62歳でした)、今日はこれもどう見ても高校生にしか見えない女の子が(実際には22歳)道案内をしました。おばあちゃんの方はすでに保健所を退職していたのですが、元気にバイクを運転して通っているようでした。

 今日の方は本当は道案内だから我々より前を歩くべきなのですが、とぼとぼ背中を丸めてついてくるので、ちゃんと飯食ってんのか、と言いたくなりました。おまけに小さい声でぼそぼそ家の人に蚊の調査をしてもいいか、と尋ねるので、最初の家は拒絶されました。調査地域もきちんとわかっていないらしく、その家の近くで20分くらい我々を待たせて、近所の人たちに道を聞いていました。次の家も危なかったのですが、S君が代わりに調査をする意味について説明してくれたのでなんとか調査を始めることができました。そんなこんなで我々が予定の半分をまわったところで他のチームはすでに終わったようで、別のチームの保健婦さんがバイクで駆けつけてきてくれました。

 こちらの保健婦さんは、かなりシャキシャキしていたのですが、自分で懐中電灯を持って、ボウフラがいるかいないか、チェックを始めるような方でした。その仕事は我々に任せてくれ、と伝えたわけですが。

 S君と帰りの車の中で、今日のガイドは最悪だった、とパスツール研の人に話すと、問題ありそうだったけど若くてきれいだったので、ツノダだったら何とかすると思ってつけた、と言われました。

 冗談じゃない。あと10分調査開始を待たされたら、お前、帰れ、と言っていたと思います。

Rimg0009_2 鉄橋で川を渡る人たち。周辺に橋がここしかないらしく、電車が来ない時に皆ここを通っていきます。両岸に交通を制御する人が2人ずついて、車を順繰りに通します。手近にあるのだったらそれで間に合わそうというのと、橋の交通整理のために4人もの人が関わっているのが、いかにもベトナム的な感じがします。 

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2009年7月 5日 (日)

Tien Giangの歓迎と一人のパス研スタッフへの不信感

 昨日はTien Giang調査の最終日でした。いつもより30分遅れて出発したので、現場での仕事の開始も遅れて、9時過ぎから始まりました。何とか12時過ぎに予定の家をまわり終えて蚊を採集しました。

 でもここからが大変でした。

 保健所の副所長に昼食を接待されたのですが、ベトナム恒例の飲みでした。しかも料理は犬鍋とドジョウの煮たので、夏バテ気味の体調で、どちらかというと苦手な料理を食べるのは過酷でした。

 そして何かにつけて一気。じゃ、これで終わり(雰囲気から推定)、となった後で、何回一気したことか。かなり暑かったので、ビールはうまかったですし、あまり食もすすまないし、バンメトートの飲みに比べれば大したことないから、もっと飲んだろかと思いましたが、これから3時間のでこぼこ道を車に揺られてホーチミンまで帰るのかと思うと、万が一の粗相を想像してしまい、セーブしました。昨日、今日と一緒にまわった現地のおじさんは、こいつ飲める、と思ったのか、獣のような目でこちらを見て、犬肉をもっと食え、ドジョウも食え、もっと飲め、お店のおばさんにサービスしてもらえ、とけしかけていました。

 今までは他の人のプロジェクトに参加してこのような歓迎を受けてきたのですが、自分が主役のプロジェクトですと逃げ場はありません。体調が悪かったせいか、そしてほとんど英語が話せる人がいなかったせいか、疲れました。

 ホーチミンに帰ってから、データシートと採集したサンプルをチェックしました。前に問題のあったパスツールのスタッフの一人がこの日も参加していたのですが、彼のデータを点検していて、今回も不信感を持ちました。頭を冷やしてから、室長のLさんと話し合いたいと思います。

 

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2009年7月 4日 (土)

Tien Giangの夏空

 昨日からTien Giangという県で調査をしています。ホーチミンから60kmくらいの距離なのですが、道の半分は舗装がでこぼこでスピードが出せず、途中に川があって車ごと船で渡るので、片道2時間半から3時間かかります。朝は5時半出発です。

 来月から室内実験を始めるので、毎月南部にも来れません。必然的にNIHEから一緒に来ているS君にに頼まざるを得ないのですが、一緒に調査をしていると楽をしたがっているのがわかるので少々不安を感じます。自分に割り当てられた調査をするほかに、全体の管理もしてもらわなければいけないので、彼には今回見本を示しておかなくてはなりません。

Rimg0018_2  Tien Giangの空と雲。ハノイは一年中スモッグがかかったようなので、あまり空を見上げることはありませんが、南部に来ると、時折遠くの空を眺めます。子供の頃に海や川やプールや山で見た空を思いだすような夏空が広がっています。今はあまり郷愁に浸る間もなく、仕事に追いまくられる毎日です。

 

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2009年7月 2日 (木)

だんだん悪くなるBGトラップの質

 今回は南部の3つの県で調査をするわけですが、最初のBinh Du'o'ngでの調査が今日で終わりました。3人1組の3チームで3日間で80軒の家を回ってボウフラと蛹を採集し、そのうちの半分の家でトラップで成虫を捕まえました。

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 成虫の蚊はBGトラップ(真ん中が黒い色で周りが白い筒状の装置)を一日置かせてもらって捕まえます。本来ならこの中に蚊を寄せ付けるにおいを出す物質を入れるのですが、使い古した靴下のような臭いなので、家の中には置かせてもらえません。その物質を入れなくても、割と効率よくヤブカは取れます。こんなのが一台4万円近くもします。

 でもこのトラップの値段は数年間据え置きなのですが、買い足すたびにしょぼくなってきています。支柱は、折りたたみのスチールから安物プラスチックへ変わりましたし、黒い円筒の部分だけサイズが小さくなったのでそのまま中に落ちやすくなりました。電圧は100から220ボルトまで対応していたのが、120ボルトのみ対応となりました。プラグの部分がやけに重くなったので、トラップをしまう際に床に落として壊すことが多くなった気がします。

 4万円の値段の大半は特許料だと思うのですが、少し改良したモデルを見せてベトナムの安い人件費で作ったら、もう少し安い値段で買えるのにと思いました。

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