ライバルの多い、デング熱の研究
NIHEの所長と副所長が長崎大学を訪問していて、これからのプロジェクトについて日本側と協議しました。昨日、新ボスから届いたメールによりますと、オックスフォード大とフランスのパスツール研究所からもハノイのデング熱のアウトブレークについて共同研究をしたいとの打診を受けているそうです。さらに、できるだけ内容はかぶらないようにしたいという提案がベトナム側からあったそうです。悪い言い方をすれば、三股かけられているかもしれません。先週の日本とベトナムのエントのミーティングではそのような話は一つも出なかったわけですが、来週、私がベトナムのエントの腹を探ることになりました。こういうのは苦手ですが、これも仕事です。
デング熱は世界中の熱帯域に、しかも都市部で多い病気なので、研究に対する需要が高く、研究を巡る競争が激しいです。なかでも、このウイルスのワクチンを開発することは、その社会的、経済的価値からみて人類に対するものすごい貢献です。
昔は図書館に行ってCurrent Contentsという論文目録をちびちびチェックしなければならなかったのですが、今は便利になって、蚊とかマダニとか自分の研究に関連するキーワードを登録しておくと、毎週、蚊やマダニに関する新しい論文の目録がメールで送られてきます。蚊の論文は最低でも10本、多い時には50本ほど、毎週新しい論文が公表されています。そのうちの3,4割はデング熱媒介蚊、残りのまた3,4割がマラリア媒介蚊といった感じです。つまり、毎週、世界のどこかからネッタイシマカの論文が3本から20本くらい発表されています。正直やりつくされている感じもうけます。
あまり他の人がやっていない、地味な、直接応用とは結び付かないテーマをやっていく方が論文を書けるし、自分に合っているのはわかるのですが、それだと医学系の職場では生き残るのが大変です。いかに医学的な貢献に結び付けるかを念頭に置きながら、今のところあまり注目されていない原石を見つけて、それをだんだん磨いていくことが今の自分の仕事だと思います。
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