昨晩、NHKの生命ドラマチックという劇団ひとりが出ている教養番組を見ていたら、コオロギは周りに雌がいる場合と雄がいる場合で鳴き声を変えるとか、中国で闘犬や闘鶏のようにコオロギ同士を戦わせる遊びがあるというのが紹介されていました。雌と交尾をさせると雄が強くなるとかという話もあって、あれー、これって学生時代にお世話になったNさんの研究にかぶっているなあ、と思いながら番組を見ていました。すると、このようなコオロギの行動は脳から分泌されるホルモンが影響しますという展開になって、Nさんがコオロギの実験をしているところが紹介されていました。
私が大学の4年生と修士の時に、当時理学部の隣にあった実験生物センターにいたNさんのところによくおじゃましていろんな話を聞かせてもらいました。彼は当時30代後半でコオロギの研究が軌道にのってきた時で、まだ私たちと遊びに行く体力もあって、いろいろ付き合っていただきました。本当に、北大の後半の3年間はNさんには公私にわたってお世話になりましたし、当時の私は彼からかなり影響を受けていたと思います。
けれどもいかんせん、歳月の経つのは早く、今年で60歳になったNさんはもともと痩せていましたが、さらに痩せたように見えました。私も道端のベトナム人の子供から「オング」(じいちゃん)と呼ばれる今日この頃なので、人のことは言えませんが、子供がまだ小さいのに大丈夫か、と心配してしまいました。
Nさんも相変わらず自分でコオロギの飼育をして、実験を行っていると思うと自分も頑張らなくては、と気持ちを引き締めて、今日は蚊の調査に出かけました。
ところが、世の中自分の思うようにはいきません。保健所に着くと、案内をする人がみな忙しくて来ないという通告を受けました。一応、昨日C君たちが仕事でここの保健所に立ち寄った時は大丈夫という話だったらしいのですが、当日のドタキャンはいかにもベトナムチックで、怒る気力ももはやありませんでした。
午後、念のため、C君たちが明日出かける予定の保健所に電話をすると、両方とも予定が入っていたり、案内の人が来れないという返答でした。片方は別の保健所と日にちを入れ替えてもらって、もう一つは来週に延期しました。そして、私はいつも行けない保健所に行けるいいチャンスだと思って、入れ替えした保健所に行けるかどうかC君からハノイ市当局に聞いてもらいました。
すると、ハノイ市保健局の返答は、来週に延ばすはずの保健所に明日行くようにとの返答がありました。えっ、だって案内のおばちゃんがいないじゃないかと、聞き返してもらうと、保健所の女性が案内するという返答でした。私と相方のT君の意見は、保健所の人では案内は無理だ、ということで一致しているのですが、これって何なんでしょうか。
蚊の調査をする時には必ず我々と保健所の間にハノイ市や省の保険局が入ります。要は、外国人である私はいちいち今日はここ、あすはそこと届け出をしなければなりません。
私は他の国で仕事をした経験がないのでわからないのですが、これはベトナムだけですかね?日本で留学生や外国人研究者が調査をする時には、国立公園は別として、いちいち届け出をしなければいけないなんて聞いたことがありません。
いちいちお役所の手続きをしなければならないので、試薬を手に入れるにしても本当に時間がかかりますし、疲れます。たぶん、今更他の保健所に行く許可は出したくない、けれども自分たちの手際が悪くて行くなとは言いづらいのでしょうか。
いずれにしても、調査がうまくいかなければ来週また行かなければなりません。
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