ベトナムの貯水タンクから近未来の日本の家を検証する
今日で今月のハノイ市内の媒介蚊調査が終わりました。最終日は絹製品で有名なHa Dong区でした。
案内の人はいつものおばさんではなく、8月くらいに来てくれたおじさんだったのですが、男のくせになんでこんなにしゃべるんだ、っていうくらい、よくしゃべるおじさんでした(年齢は退職しているので60歳以上でした)。
ベトナムの人は、地下に貯水タンクを作ってそこに雨水を貯めておきます。市内ではお金持ちはたいてい持っています。Ha Dongのような郊外ですと土地代が安いので、たいていの家が庭の一画とかに貯水タンクを持っています。いつもNIHEのスタッフとまわっているわけですが、彼らが記録用紙に記入する間に、私は貯水タンクに網を入れて5回かきまわしてボウフラを取ります。
今日の案内のおじさんは、「ツノダ、(蚊は)いたのか、いなかったのか。」としつこく聞いてきました。こんな濁った水で、すぐわかるわけないだろ、まあ、待てや、と腹の中で思いつつ、さらに、言葉で言えない悲しさも感じつつ、泥がコップの底にたまるのを待って、ボウフラがいるかいないかを判定しました。
正直、この人、うざいな、と思ったのですが、調査が終わって、別れ際に、私の手を握りながら、「帰るから、帰るから。」 と、言われた時、一昨年亡くなった伯母のことを思い出しました。
伯母のことを生前は、うざいな、と思ったりもしましたが、それだけ自分に対して気持があったのかと今になって思うと、悪かったかもしれない、と思います。自分は大人ではなかったなあと。
話がそれてしまいましたが、都市化が進んで水道が普及してきたにもかかわらず、貯水タンクをもっているのは正解だなあ、と思います。実際、市街地で少し生活レベルが低い人たちが住んでいる場所では、あまりにも水道料を滞納するので地域全体の水道を止められたりします。そんな生活条件だと水を貯めざるを得ないのですが、そこにデング熱媒介蚊が卵を産みつけるので、貧しい地域では、病院に行けなくて家でデング熱の患者が寝ていて、その人達目当てに新たに蚊が血を吸いに来て、貯めてある水桶に卵をうみつけていきます。これは負の連鎖です。
この前、実家のまわりの写真をお見せしましたが、家の近くでは湧き水があって、わさびを作っていて、その水を家にひいていました。湧水からひいてくる水道管ができる前は井戸水だったそうです。井戸は埋めてしまいましたが、水道水でない水は今でも沸かしてお茶を飲むときに使っています。あれ、ベトナムと同じか。
まだ私が日本にいた時ですから、5年くらい前でしょうか、オール電化の家というのを電力会社がCMで宣伝していました。子供の時に停電を何度も経験していたので、停電になったらどうするんだ、と感じていましたが、実際にそれは昨年の3.11で思い知らされました。今の日本だったら、○●電力と契約しつつ、太陽光とか風力とかで自力でできるだけ発電をし、万が一の時のために煮炊きができる設備を持っておくべきかもしれません。決して○●電力だけに頼れない状況です、これからの日本は。
オール電化の家というのは5年前の段階での技術の極致であるかもしれませんが、あくまで私の考えでは、それはあまりにも無機質な感じがしてなりません。
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