水泡に帰そうな実験

　昨日、アフリカの僻地で働いている知人が長距離の移動で3日間体調を崩したのに、これからレポートをまとめなければならないと、フェイスブックで弱音を吐いていたので、大丈夫、なるようになります、と自分なりの励ましのメッセージを送りました。

　今日、いよいよ今年度から始めたプロジェクトで4月からとってきたサンプルの最後の段階の実験をやったら、ネガティブな結果でした。実験を教えてくれたエントのH君が言うには、ポジコンが出ているから抽出はうまくいったけど（実は彼の言った意味は本日の実験という意味で私のこれまでやってきたRNA抽出という意味ではないとすぐにわかったわけですが）、RNA抽出の試薬の点検とウイルスが存在していたのかを検査するために提供されたウイルス培養液の点検を明日行おうということでした。

　RNA抽出キットがダメという結果だったら多分1年前から先々週くらいまで行なってきたRNAの試薬が全部使い物にならなくなっていたということであり、培養液からウイルスが検出されなければ感染実験そのものが成り立っていなかったという、どちらに転んでも今までの実験にかかったお金と労力が水泡と帰すことになります。

　あー。

　助成金の報告書、どうしよう。

　人のことを励ましている場合じゃないよな。

Lさんの退職

　先日、退職すると書いた二人が今日付でそれぞれフレラボとNIHEを辞めました。

　Lさんは7年間、フレラボで働いたそうです。秘書のTさんが私と同期なので、現拠点長から数えて四番目に古いのを彼女から聞いて再確認しました。

　彼女曰く、

　みんな（結婚、昇進等々）変わった。ユーだけ変わらない。歳をとっただけ。

　こういうのを一言多いというのでしょうか。私もタッチラグビーの仲間から言われたことがあります。

　純粋というかなんというか。 私は北関東の山岳地域、彼女は中国国境付近出身なので、悪気はなくとも失礼ブッこいたことを言ってしまうのは田舎者の性かもしれません。

　彼女の送別会は拠点の半分の日本人が日本にいるため、近日中に行うと思います。

公務員の安い給与

　合気道の知り合いでNIHEに勤めていた知人が、給料が安いのが原因で他の職場に移ったことを三ヶ月くらい前に書いたかもしれません。フレラボでも一人、エントでも一人、どちらも今週末でNIHEを辞めて病院で働くそうです。どちらも蚊のウイルス感染実験に関わっているので、私にとっては痛手です。エントの人物は私のアシスタントの夫で、彼女が言うには病院の方が給与がいいので移るそうです。

　彼は10年近く勤めても正式な職員にはなっておらず、オーストラリアのプロジェクト絡みで働いていたし、最近は別のラボから年上の人間が助っ人として移ってきて彼の下で働く感じになっていたので、決して表には出しませんでしたが不満はあったでしょう。

　でも一番の原因は給与のようです。合気道の知人は30代後半でも月給は５万円以下だったそうです。公務員の給与が安いのは日本もベトナムも同じですが、それでも一家四人で生活するのに加えて、車や洗濯機を買ったり、海外旅行に出かけたりするのは今の彼らには夢のまた夢でしかないのでしょうか。

オペラーバス停

　関東は連日雨のようですが、ハノイも天気が悪く、昨日今日と雨です。

　昨日は空港からバスで帰ったのですが、私の降りる停留所近くになったら急に土砂降りになりました。車掌からあらかじめどこで降りるのか聞かれ、さらに前の停留所を通り過ぎた時に降りますのボタンを押して、チャイムを鳴らしたはずなのに、降りるはずのオペラハウス前をスルーされました。

　一瞬、停留所で工事かそれとも何かトラブルでもあって停車できないのかと思ったのですが、たまたま通り過ぎた直後の信号で停止したので、「オペラー」と言いながら荷物を手に取って降り口に移動したら、車掌が気がついて、笑いながら何やらベトナム語で話しかけました。

　外は土砂降りで、屋根のある停留所まで傘をさして10mほど歩かなければなりません。

　日本語で、何やってんだ、を数回リピートしながら、この時壊れた折り畳み傘をさしてバスを降りました。雨の中、停留所で15分ほど待った後でタクシーがつかまり、無事家に帰りました。

お盆の一時帰国

　先週の土曜日から今日まで実家に戻っていました。土曜日と今日はほとんど移動だけです。群馬からハノイまでは遠いのです。

　日曜日は赤城山へ行って森の中を4時間近く歩き回りました。さすがに疲れた。イノシシとシカを見ました。昔はイノシシもシカも赤城山周辺にはいなかったのですが、温暖化のせいで雪が少なくなったためなのか、過疎化で狩猟圧が無くなり森や田畑が荒れたせいなのか、クマも交えて野生動物に恵まれた山間地になりつつあります。

　お盆の迎えを兼ねてお墓を掃除したり、タッチのためのスパイクを買ったり、いろいろと必要なものを揃えました。今度は正月まで戻らないつもりでしたが、父親のボケがどんどんひどくなるのと本来なら暮れの大掃除にする障子貼りを少し暖かい時に前もって母がやっておきたいというので、秋にまた実家に行く予定です。もちろん私費で出費になりますが、少しくらいいいでしょう。

壊れた卓上遠心機

　毎日実験で使っている卓上遠心機が壊れました。たしか半年ほど前に遠心機の上に置いてあった箱が落ちた時にヒビが入ったのですが、特に問題なく使えていたのでそのままにしていました。しかし、一昨日そのヒビの入った部分が欠け落ちたので、夕方、二百円ショップに行って瞬間接着剤を買ってきて直しました。その時は再び普通に動いたのですが、昨日は動きませんでした。

　仕方がないので、長崎のシールが貼ってある別の遠心機を自分の使っている実験台に持ってきて使っています。そう、壊れた遠心機はNIHEのものでした。皆が使っていないので私がほぼ独占して使っていたのです。

　たまたま所長裁量経費で物品の修理や購入をしてもらえるとメールが回ってきたので、これに応募してみることにします。

Dさんの再就職

　前回は合気道の試験について書いたので、3週間ぶりの更新です。合気道の方は水曜と土曜、時々木曜にも行っていますが、上級者向けの技をする時はなかなか体が思うように動いてくれないので、困ったものだと思っています。多分若い時に習っていたらもう少し体が動くのでしょうね。

　夏バテや、気力が落ちないように朝昼晩と３食きっちり食べているので、体重はなかなか減りません。タッチの時の動きもだんだん鈍くなっている気がします。

　仕事に関しては、今はあれこれ考えず、淡々と室内実験を行なっています。

　先週の金曜日、実験を行なっていると、突然この前まで私のアシスタントをやっていたDさんが訪ねて来ました。話を聞くと、午前中にJICAの面接があって即、採用されたそうです。相談にのってもらっていたSさんから募集の連絡を待っていたのですが、詳細はよくわかりませんが、Sさんのサポートもあっていきなり決まってしまったようです。いずれにせよ、本人が希望していたので、よかった。久々に嬉しいニュースでした。